相続手続き

　亡くなられた方のご遺族の方が、相続手続きをする際の困り事のひとつに、戸籍謄本等の取得があります。

　亡くなられた方（被相続人）に子がある場合、相続人は配偶者と子になりますので、比較的楽に取り寄せることができます。しかし、子がいなくて遺言書がない場合、その方のご両親は亡くなっていることが多いため、相続人は配偶者と亡くなられた方のご兄弟になり、取得すべき戸籍謄本等の数がグッと増えます。

　特に、第二次世界大戦前に生まれた方は、ご兄弟が6～7人いることは普通です。また、「家の存続」等を理由に養子縁組も結構あります。それらの兄弟がそれぞれ結婚をして日本各地に散らばっていたりすると、問い合わせしなければならない市町村がもっと増えます。戸籍制度は、昭和20年の敗戦を機に、家族に関する法律は、「家」制度から現行制度へ改正されました。戸籍の記載方法も変わり（改製）ましたので、出生から死亡までとなると、一人の戸籍が３～４通必要なことがあります。古いものは手書きのため、殴り書きのような字もあり、判読するのに苦労することもあります。

　 それでも、各市町村のホームページから申請用紙などを取得してひとつひとつ追いかけていけば、不可能ではありません。しかし、慣れない作業のため困った方より、相続関係図の作成を含めた相続手続きの依頼を受けることがあります。これまでに一番多かったケースでは、相続人が14人いました。ここまでくると、小さいころに一度会ったきりだとか、会ったことがない親族がいたりします。

　話がまとまると遺産分割協議書に仕上げるのですが、幸いなことに、上記の例も含めて、これまでお手伝いしたケースでは、無事に分割協議が成立しています。逆に、相続人が二人でもまとまらず、家庭裁判所に調停を申立てるケースもあると聞きますので、相続手続きは油断ならないものです。