終活ー任意後見制度の利用について
先日、高齢者福祉生協の集まりでお話をさせて頂きました。テーマは「終活―遺言・相続・成年後見制度について」です。 終活は、「人生をより良く自分らしく生きる」ことが目的です。
相続・遺言では、残された家族が困らないようにと作成する遺言書について、基本的なことをお話しました。
また、成年後見制度では、任意後見制度を中心にお話をしました。
成年後見制度は、法定後見制度と任意後見制度があり、今は法定後見制度の利用がほとんどです。
法定後見は、ご本人の判断能力が衰えて「周りの方々が困って家庭裁判所に申立て」をしますが、任意後見は、「ご本人がしっかりしているうちに自らの意思で内容を決めて、認知症など判断能力の衰えたときに周りの方々が申立て」をします。
本来、人の好みは様々です。後見人としては、判断能力が衰えても、「その人らしい」お世話をしたいところですが、ご本人の気持ちを形に残していなければ、後見人のお世話は、どうしても一般的な基準に沿ったものになってしまいます。
成年後見制度は、「判断能力が十分でない方の日常生活を、ご本人の意思を最大限尊重しながら支援していく制度」です。 成年後見制度を利用した終活という点では、任意後見制度こそがふさわしいと思います。
たとえば、「孫が会いに来てくれたら必ずお小遣いを渡すことにしている」「盆と彼岸には、亡くなった父母のお墓に花を添える」ことを、元気なうちは必ず行っていたとします。判断能力が衰えて係わる法定後見人は、家族からそのことを聞いていたとしても、本人の意思を確認できない以上、財産の管理を重視する立場から控えるのが普通です。ご本人の判断能力のあるうちにお話をうかがい、要望を把握してエンディングノートなどの形にしている任意後見人受任者であればこそ、実現可能なことです。
もっと活用されてほしいという思いで、お話をさせて頂きました。
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