鹿肉体験記

 Mさんの事務所に居候して3ケ月。様々な人が来てご挨拶をさせてもらいますが、その中に窪川在住の陶芸家(↓)がいます。

 私から見れば、典型的な「芸術家として生きていく」タイプで、お金には縁のなさそうに見える正統派です。その方が自ら捌いた鹿肉を頂きました。ジビエ料理は、農業被害と関連しながら話題になりますが、そんな脇役ではなく、ビックリするくらい美味しいものでした。


まずは、もも肉

 塩・コショウをして、オリーブオイルをひき、ニンニクと一緒にフライパンで焼きました。柔らかくて味が濃くて、おいしく頂きました。たくさんあったので、残りの半分は、塩をしてキッチンペーパーで塩発酵、残りの半分は、味噌・酒味醂・山椒の味噌漬けにしました。味噌は四万十町窪川の井上麹店の味噌です。どちらも窪川の水で育ったので相性がいいだろうと妻の発案です。すべて、私は食べるだけの人でした。塩発酵は、期待のうまさでした。味噌付けは、大事に冷凍しています。

次は、首の部分

 別の日に、雌鹿の首・舌・心臓のお肉を頂きました。首の部分をもも肉と同じように、薄く切って塩焼きにしたのですが、欲張って厚切りした鹿肉は噛み切れなくて、それでも味か良いので少しずつ食べていって、結局6割方食べました。

 陶芸家曰く、

 「フライパンでは悪戦苦闘されていますね、噛み切れないほどのシロモノで、すいませんでした。これが縄文時代への第一歩です。そもそも鹿のこのパーツはキリンの首のように強靭な筋肉の集合体で,猟師の言では「しっかりした歯ごたえの肉」です。新田次郎のアラスカ物語や星野道夫の世界にあこがれつつ,夕暮れどき、煙の立ち上る開墾の残り火で,薫製のように丸焼きにして芋屋 金次郎(本格焼酎)とグラスを切り株に置き、飲んだくれつつ、焼けた表面から順次、狩猟ナイフで、薄くそいで食べています。野生の猛々しい肉とスーパーの軟弱な肉とは全く違います。気合いを入れて、ワイルドにいきましょう。二歳ほどの若いメスなのでMさんに渡した巨大な雄鹿のパーツよりもずっと柔らかいはずなのです。・・・なんだかMさんの歯が心配になってきた・・・。」


 食べきれなかった4割分は、骨でだしを取ったスープと一緒に煮込んでおいしく食べました。ジビエ料理というのは、以前よりも流通しているけれど、美味しいものを食べたことがありません。処理の仕方の違いなのでしょうか。骨にくっついたお肉にかぶりつくくらい美味しいのに。

陶芸家曰く

「猟でとれた鹿には季節、雌雄(出産期前後)、年齢等の個体差、しとめ方(苦しみの程度と血抜きの状態)でいろいろです、そもそも自然釉の壷と同じで、品質が一定するということがありえません。たとえばたまたま、かつて五台山で飼われていた鹿の角と野生の鹿の角を比較した時、その品質から人工飼育の鹿のほうが栄養状態が良いと判断されたケースがありました。いい餌場でまるまると太った夏鹿もいれば悲しいほど苦労して痩せた冬鹿も獲れます。ジビエ肉のブランドアイデンティティの確立は獲った猟師ひとりひとりの資質にかかってきます。畜産業界の長年の努力で、工場生産されるような銘柄豚や銘柄牛のようにはいきませんが、抗生物質も成長ホルモンもBT毒素も入っていないヘルシーな自然肉です。旧約聖書(モーゼ書)にも鹿肉は『食べて良い清い肉』と書かれています。冬場は草も無く木の皮まで食べねばならないのに比べ、今の鹿は若草や木の若葉の美味しいところだけチョッ、チョッと選んで食べ歩いているグルメ鹿ですので美味しいはずです。


そして、今度は舌

 舌(鹿もウシ科なので、タンというのだろうか)も薄切りにして塩焼き。これは、大変柔らかくて美味しくいただきました。写真を撮ることを忘れてしまいました。


残るは心臓

 最後に残った心臓と初めにもらって冷凍していたもも肉の味噌山椒づけを食べました。心臓はいつもの塩焼き。これまたおいしくいただきました。鹿を狩り、捌いて食べれるようにして、調理するという過程の中の最後の部分だけ体験でした。自然の中で生き抜いている野生動物のほんの一部分ながら、貴重な体験でした。武吉さん、ありがとうございました。



行政書士田中俊次事務所

高知市に事務所がある行政書士です。任意後見契約、相続・遺言、法人設立や許認可などを取り扱っています。社会貢献活動として、(一社)コスモス成年後見サポートセンターに所属して、被後見人の方のお世話もしています。お気軽にご相談ください。 〒780-0935 高知市旭町2丁目22ー57ー307  TEL 090-6287-8279 FAX050-3153ー3206 相続アドバイザー・事業承継アドバイザー

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