遺言の内容は、正確に

 今年の夏以降、遺言作成の相談を受け、5人の方のお世話をさせて頂きました。遺言の内容は様々ですが、作成にあたり基本的で大事なこととして、正確に記載するということがあります。

 少し前のことになります。亡くなった夫の相続手続のことで、Aさんより相談を受けました。Aさんの場合、夫には前妻との間に子がありました。夫は、自分が亡くなった時のことを考え、Aさんと結婚後に購入した夫名義の自宅はAさんに残そうと「妻Aに相続させる」内容の自筆の遺言書を作成していました。 相続人は妻Aさんと前妻の子で、法定相続分は2分の1ずつです。遺言によりAさんが自宅を相続すると法定相続分を超えますが、遺留分を侵害しないので、スムーズに手続きが進むはずでした。

 ところが、遺言の内容に書かれた不動産の地番に記載ミスがあり、宅地すべてを特定することができないことから、そのままでは登記(名義変更)することができませんでした。遺言の解釈にあたっては、「遺言書の文言を形式的に判断するだけではなく、遺言者の真意を探究すべき」というのが基本的な考え方ですが、拡大解釈は出来ません。

 最終的には、Aさんが不動産を取得し、法定相続分の2分の1を超える部分については、Aさんが前妻の子に金銭を支払う代償分割の遺産分割協議書を作成して、自宅の名義を変更することになりました。

 遺言の内容は、あいまいな表現を避けるとともに、正確な記載が必須です。今回のケースでいうと、不動産の地番・家屋番号等を登記簿で確認するというひと手間がぬかっていたために、思いがけなく負担が生じました。客観的な資料をもとに、作成することが大切です。

行政書士田中俊次事務所

高知市に事務所がある行政書士です。任意後見契約、相続・遺言、法人設立や許認可などを取り扱っています。社会貢献活動として、(一社)コスモス成年後見サポートセンターに所属して、被後見人の方のお世話もしています。お気軽にご相談ください。 〒780-0935 高知市旭町2丁目22ー57ー307  TEL 090-6287-8279 FAX050-3153ー3206 相続アドバイザー・事業承継アドバイザー

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